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京都府鍵屋修理隊

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トロヨケ
トロヨケは和建築で使われてきた鍵まわりの部材を指す呼び方であり戸や引き戸や蔵の扉などに設けられた鍵穴の前面を板や座で覆って外から鍵穴が見えにくい状態を作るために取り付けられます。現代の錠前で言えばシリンダーの防犯カバーに近い役割ですがトロヨケは見た目の統一だけを目的にするのではなく視線と手の届き方を変えることでいたずらや工具の差し込みを起こしにくくし雨や砂埃が直接入り込むのを減らす意図も含まれます。名称の使われ方は地域や職人の習慣で揺れがあり鍵隠しや鍵覆いに近い意味で語られることもあるため形だけで決めつけず鍵と錠前の構成の中で理解すると分かりやすくなります。
トロヨケが付く場面は錠前の形式にも関係します。和錠や差し込み錠のように鍵穴が表面に露出しやすい構造では鍵穴の周囲に前金具が付きその前金具の一部としてトロヨケが組み込まれることがあり引戸では引手と一体の飾り座としてまとめられる例もあります。箪笥の錠では鍵穴を隠すことで中身の在不在を悟られにくくする狙いが語られることもあり用途に応じて意匠と実用が重ねられてきたと言えます。近年は同じ発想でシリンダー前面に回転式のシャッターを付ける製品もあり目的は共通ですがトロヨケは建具全体の意匠の一部として設計される点に特徴があります。
構造は大きく分けると鍵穴の周囲に固定される座の部分と実際に鍵穴を隠す可動部で成り立ち可動部は横に滑らせる引き板式や回転させて塞ぐ回転板式や上から落とす小蓋式などが見られます。引き板式では普段は鍵穴が板の裏に隠れ必要なときだけ指で板をずらして鍵を差し込む穴を露出させるため鍵穴が常に外気にさらされませんし回転板式では中心のねじを軸にして金具を回して開閉するため引き違い戸の狭い面でも収まりやすい利点があります。素材は木製の建具に合わせた木製のものもあれば耐久性を重視した鉄や真鍮のものもあり寺社や蔵では厚みのある金具に彫りや打ち出しを施して装飾性を高める例もありますが装飾が細かいほど汚れが溜まりやすくなるため外気に触れる場所では掃除のしやすさも選定要素になります。
機能面でまず大きいのは鍵穴の秘匿であり鍵穴が見えにくいだけで鍵の種類や向きが分かりにくくなり工具を当てる位置も取りにくくなります。次に環境対策として鍵穴は金属同士が擦れる精密部なので砂埃が溜まると動きが渋くなり湿気が入り続けると腐食や固着の原因になりますがトロヨケで開口部を塞いでおくと侵入する異物の量を減らせます。さらに生活面では室内の光が鍵穴から漏れるのを抑えたり外から覗かれやすい高さに鍵穴がある場合に視線を散らしたりする働きもあり古い家屋で見られる細やかな工夫として説明できます。ただし防犯性を高めたい場合はトロヨケだけに頼るのではなく錠前そのものの強度と受け側の固定と扉の建て付けを整えたうえで補助錠やガードプレートなどと組み合わせることが基本です。
取り付けや扱いの注意としては可動部が引っ掛かると鍵穴が露出しっぱなしになりやすいので建具の反りや金具のゆがみが出たら早めに調整し滑りが悪いからといって家庭用の油を差すと埃を呼び込んで逆に動きが重くなることがあります。鍵穴側の手入れは清掃を基本にし必要なら鍵穴向けの潤滑剤を少量に留めトロヨケ自体は乾拭きで汚れを落とし金具の角で手を切らないように面取りや固定ねじの緩みも確認します。現代の鍵へ更新する場面でも意匠として残したい場合は扉の加工寸法と鍵穴位置が変わるため先に設計を固めてから選ぶと無理が出にくく伝統的な見た目と実用性を両立できます。


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